トラブル対策

切削加工時に発生しやすいトラブルと原因

CNC自動旋盤の加工エリア(SR-38)

切削加工では、さまざまなトラブルが起こります。
代表的なのが、びびり、面粗さ不良、工具の異常摩耗、切りくずトラブルなど。
これらは現場で頻繁に発生する「あるある」ですが、原因を理解しておけば、すばやく対処できます。
このページでは、代表的な切削トラブルとその原因を整理します。

びびり(チャタリング)

びびりとは、加工中に工具やワークが細かく振動し、加工面に縞模様(びびりマーク)が残る現象です。
面品位の悪化や寸法精度の低下、工具の欠損につながります。

主な原因は、剛性不足共振です。
ワークが細長くてたわみやすい、工具の突き出しが長い、切込みが大きすぎる、といった条件で起こりやすくなります。
対策としては、ワークや工具の突き出しを短くする、切込みや送りを調整する、切削速度を変えて共振を避ける、といった方法があります。
細長いワークでは、ガイドブッシュによる支持も有効です。

面粗さ不良(仕上がりが悪い)

加工面がザラついたり、狙った面品位が出なかったりするトラブルです。
原因は複数考えられます。
送りが大きすぎる、工具が摩耗している、切削速度が適切でない(とくに遅すぎて構成刃先ができている)、刃先Rが合っていない、などです。

対策としては、送りを下げる、工具を交換する、切削速度を見直す、適切な刃先Rの工具を選ぶ、といった調整を行います。
仕上げ加工では、荒加工と工程を分け、仕上げ専用の条件にすることも有効です。

工具の異常摩耗・欠損

工具が想定より早く摩耗したり、欠けたりするトラブルです。
切削速度が高すぎて刃先温度が上がっている、被削材に合わない工具材種・コーティングを使っている、切りくずがうまく処理できていない、などが原因になります。

対策は、切削条件(とくに切削速度)の見直し、工具材種やコーティングの選定、刃先の冷却(高圧クーラント)などです。

切りくずトラブル

切りくずが長くつながって工具やワークに絡む、機内に詰まる、といったトラブルです。
とくに粘りのある材料(ステンレス・アルミ・銅など)で起こりやすく、無人運転を停止させる原因になります。
対策としては、揺動切削による切りくず分断や、高圧クーラントによる排出が効果的です。

トラブル切り分けの早見表

切削トラブルが起きたとき、症状から原因のあたりをつけられると対処が速くなります。
代表的な症状と、まず疑うべき原因を整理しておきます。

症状まず疑う原因主な対処の方向
加工面に縞模様(びびり)剛性不足・共振突き出し短縮、切込み・速度調整
面がザラつく送り過大・工具摩耗・速度不適送り低減、工具交換、速度見直し
工具がすぐ摩耗・欠ける速度過大・材種不適・冷却不足条件見直し、工具・冷却の最適化
切りくずが絡む・詰まる切りくず分断不足揺動切削、高圧クーラント
寸法が安定しない工具摩耗・熱変位機内計測、工具寿命管理

この表はあくまで出発点です。
実際には複数の原因が重なることもあるため、一つずつ確認しながら切り分けていくことが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. びびりを止めるにはどうすればよいですか?
A. ワークや工具の突き出しをできるだけ短くし、高剛性・防振ホルダを使って剛性を高めます。
切込み・送り・切削速度を調整して共振域を避け、コーナRや切込み角を小さくして切削力を抑えるのも有効です。
スイス型自動旋盤では、ガイドブッシュの締め込みを強くして材料の振れ・たわみを抑えると、びびりの抑制に効果があります。

Q. 加工面がきれいに仕上がりません。
原因は?

A. 送りが大きすぎる、工具の摩耗や刃先の欠け、切削速度の不適切さによる構成刃先・むしれ、刃先ノーズRの不一致などが考えられます。
まずはノーズRを大きめにし、送りを下げて一つずつ条件を確認・調整しましょう。
また、被削材によっては、サーメットやダイヤ(DLC・PCD)系の工具を使用すると溶着・構成刃先が抑えられ面粗さが大きく改善される場合があります。

Q. 工具がすぐ摩耗してしまいます。
A. 切削速度が高すぎて刃先温度が上がっている可能性があります。
まずは切削条件を見直し、被削材に合った工具材種・コーティングを選定してください。
あわせて、高圧クーラントや内部給油式工具を使用すると、刃先を確実に冷却し切り屑を強制排出できるため、溶着・境界摩耗が抑えられ、工具寿命の延長につながります。

まとめ

切削加工では、びびり・面粗さ不良・工具摩耗・切りくずトラブルなどが頻繁に発生します。
いずれも、剛性・切削条件・工具・切りくず処理といった観点から原因を切り分け、一つずつ対処することが解決の基本です。
関連して切削条件の決め方や、他のトラブル事例(トラブルと解決事例)もあわせてご覧ください。

導入検討に役立つ情報を、無料でお届けします

機種選定のポイント、加工ノウハウ、補助金の公募スケジュールなどを配信。製造業の法人担当者向けの無料メールマガジンです。