種類・構造で選ぶ

「スイス型」と「主軸固定型」CNC自動旋盤の違い

スイス型と主軸固定型のCNC自動旋盤の違いを示す比較イメージ

CNC自動旋盤は、構造の違いによっていくつかのタイプに分かれます。
なかでも選定の出発点になるのが、「スイス型(主軸移動型)」と「主軸固定型」という大きな2分類です。
この違いを理解することが、自社の加工に合った1台を選ぶための土台になります。

スイス型(主軸移動型)とは

スイス型は、その名のとおりスイスの時計産業で発展した方式で、「主軸移動型」とも呼ばれます。
最大の特徴は、主軸(材料をつかむ部分)が前後に移動しながら加工すること、そして刃物のすぐ近くで材料を支えるガイドブッシュを備えていることです。

材料はガイドブッシュに通された状態で、主軸ごと前後に動きながら削られます。
刃先のすぐ近くで支えられているため、細くて長いワークでもたわみにくく、高い精度を保てます。
このため、スイス型は細物・長物・高精度の加工を最も得意とします。
直径数ミリ程度の軸やネジ、医療部品、コネクタなど、「細くて精密な小物」の量産に強みを発揮します。

主軸固定型とは

主軸固定型は、主軸が移動せず、その場で材料を回転させて加工する方式です。
一般的な旋盤に近い構造で、ガイドブッシュを使わないのが基本です。

主軸が動かないため、比較的太めのワークや、長さに対して直径が大きい部品の加工に向いています。
また、ガイドブッシュ仕様では避けられない「材料の残材(端材)」を短くでき、材料歩留まりの面で有利になる場合があります。
素材径のばらつきに対して許容度が高いことも特徴です。

どう使い分けるか

両者は優劣ではなく、得意分野の違いで選びます。
判断のポイントを整理すると次のようになります。

スイス型が向くケース: 細くて長い部品(目安として直径20mm以下で、全長が直径の3倍を超えるような小径・長尺部品)、髪の毛のように細い精密軸、高い真直度・真円度が求められる部品、医療・半導体・コネクタ系の微細部品の量産。

主軸固定型が向くケース: 比較的太め・短めの部品(目安として直径20mmを超える部品や、全長が直径の2倍程度までの部品)、長さに対して径が大きい部品、残材を減らして材料コストを抑えたい場合。

なお、近年は1台でスイス型・主軸固定型の両方の使い方ができる「ガイドブッシュ切り替え機構」を搭載した機械も登場しており、加工する部品に応じて柔軟に切り替えられる機種も増えています。

刃物台の方式という第2の軸

スイス型・主軸固定型という分類に加えて、もう一つ重要な分類軸があります。
それが刃物台の方式です。
工具を櫛のように並べる「クシ刃型」と、放射状に配置して旋回割り出しする「タレット型」があり、量産スピードや搭載できる工具数に関わってきます。
詳しくは「刃物台「クシ刃型」と「タレット型」」で解説しています。

このカテゴリの構成

スイス型と主軸固定型の比較表

2つのタイプの違いを、選定でよく見る観点で並べておきます。
実際の機種選びでは、この表をたたき台に自社の部品と照らし合わせてみてください。

比較項目スイス型(主軸移動型)主軸固定型
ガイドブッシュあり(刃先近くで支持)基本的になし
得意なワーク細くて長い部品太め・短めの部品
精度(細物)非常に高い標準的
残材(端材)長めに残る短くできる
材料径の許容シビア(精度の高い材料が必要)比較的おおらか
代表的な用途医療・半導体・コネクタの微細部品比較的太い軸物・量産部品

「どちらか一方」では決まらないことも

実務では、「スイス型か主軸固定型か」だけで機種が決まるわけではありません。
たとえば、同じスイス型でも刃物台がクシ刃型かタレット型かで量産スピードや対応できる複雑さが変わります。
主軸数(単軸か多軸か)も生産量に直結します。

つまり、機種選定は「タイプ(スイス型/主軸固定型)」「刃物台の方式」「主軸数」という複数の軸を組み合わせて考えるものです。
最初に大きな分類(スイス型か主軸固定型か)であたりをつけ、そこから刃物台・主軸数へと絞り込んでいくと、迷わずに検討を進められます。
各要素は、このカテゴリの個別ページで詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. スイス型と主軸固定型、どちらが高性能なのですか?
A. 優劣ではなく得意分野の違いです。
細くて長い精密部品ならスイス型、太め・短めの部品や残材削減なら主軸固定型が有利です。

Q. 1台で両方に対応できる機械はありますか?
A. あります。
ガイドブッシュ切り替え機構を搭載した機械なら、加工する部品に応じてスイス型・主軸固定型の使い方を切り替えられます。

Q. 「主軸移動型」とはスイス型のことですか?
A. はい。
スイス型は主軸(主軸台)が前後に移動しながら加工する方式のため、「主軸移動型」「主軸台移動型」とも呼ばれます。

PR|スイス型という選択肢

アリ溝構造の高剛性設計。
スター精密のスイス型

スイス型CNC自動旋盤で世界シェアトップクラス(同社・報道発表による)のスター精密は、刃物台の摺動部にアリ溝構造を採用した高剛性設計で、びびりを抑えた高精度・高能率加工を実現。
ガイドブッシュ仕様/ノンガイドブッシュ仕様の切り替えに対応した機種も幅広く展開しています。

スイス型という選択肢を詳しく見る →

まとめ

CNC自動旋盤は、まず「スイス型(主軸移動型)」と「主軸固定型」に大別され、細物・高精度ならスイス型、太め・残材削減なら主軸固定型が一つの目安です。
さらに刃物台の方式や主軸数によっても特性が変わります。
自社の主力部品の形状・精度・生産量を起点に、最適なタイプを絞り込んでいきましょう。

導入検討に役立つ情報を、無料でお届けします

機種選定のポイント、加工ノウハウ、補助金の公募スケジュールなどを配信。製造業の法人担当者向けの無料メールマガジンです。