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クシ刃型旋盤

くし刃型刃物台の工具ユニット

クシ刃型旋盤とは、複数の工具を櫛(くし)の歯のように一列に並べて固定し、刃物台をスライドさせて工具を切り替える方式の旋盤です。
英語では「ガングツーリング(gang tooling)」と呼ばれます。
とにかく速く、たくさん作る——という量産加工で本領を発揮する方式です。

クシ刃型の仕組み

クシ刃型では、外径バイトや突切りバイト、ドリルなどの工具を、刃物台の上に横一列に並べて取り付けます。
櫛の歯が並んでいるような見た目から「クシ刃」と呼ばれます。

加工では、刃物台を縦横にスライドさせて、使いたい工具をワークの位置に持ってきます。
工具が一列に並んでいるため、隣の工具に切り替えるのも、少し離れた工具に移るのも、刃物台を動かすだけ。
タレットのように回転させる必要がないため、工具切り替えのムダな動きが非常に少ないのが特徴です。

クシ刃型のメリット

工具交換が速い=サイクルタイムが短い

最大の強みは、工具交換にかかる時間(非加工時間)の短さです。
工具をスライドだけで切り替えられるため、1個の部品を作り終えるまでの時間(サイクルタイム)を短縮できます。
1個あたりの差はわずかでも、何万個と量産すれば、その差は大きな生産性の違いになります。

高速・大量生産に最適

サイクルタイムが短いことから、比較的シンプルな形状の小物部品を、高速で大量に生産する用途に最適です。
コネクタ部品やピン、小径のネジ・シャフトなど、「数の多い精密部品」の量産現場で広く使われています。

スイス型と好相性

クシ刃型は、細物・高精度を得意とするスイス型(主軸移動型)と組み合わせて使われることが多い方式です。
細い棒材を高速で量産するという、自動旋盤の最も得意とする領域を支えています。

クシ刃型の注意点

一列に並べられる工具の数には物理的な限界があります。
そのため、非常に多くの工具を要する複雑な部品の加工では、搭載数の多いタレット型の方が適していることもあります。
クシ刃型は「シンプルな形状を速く」、タレット型は「複雑な形状を工具数で」と、得意分野が分かれます。

どんな加工に向くか

クシ刃型旋盤は、「シンプルな小物部品の高速・大量生産」に向いています。
形状はそれほど複雑でないけれど、とにかく数が多く、1個あたりの加工時間を1秒でも短くしたい——というニーズにぴったりの方式です。

サイクルタイム短縮が利益を生む仕組み

クシ刃型の価値を理解するうえで欠かせないのが、「サイクルタイム」という考え方です。
サイクルタイムとは、部品を1個作り終えるまでの時間のこと。
量産では、このわずかな時間差が積み重なって、大きな差になります。

たとえば、1個あたり0.5秒の工具交換時間を短縮できたとします。
1個ではわずかな差でも、1日に数万個、年間で数百万個を生産するなら、その差は莫大な生産能力の違いになります。
クシ刃型は、工具交換をスライドだけで済ませることでこのサイクルタイムを切り詰め、結果として「同じ時間でより多く作れる=1個あたりのコストを下げる」ことに貢献します。
高速量産の現場でクシ刃型が選ばれるのは、こうした経済的な理由があるからです。

クシ刃型と相性の良い部品

クシ刃型がとくに力を発揮するのは、形状がシンプルで、工程数がそれほど多くなく、生産数が非常に多い部品です。
具体的には、コネクタのピンや端子、小径のネジ、シャフト、ブッシュといった「小さくて数の多い精密部品」が典型例です。

これらは、細物量産を得意とするスイス型と組み合わせることで、高い精度を保ったまま圧倒的なスピードで量産できます。
自社の主力部品がこうした「シンプル・小物・大量」に当てはまるなら、クシ刃型は有力な選択肢です。

よくある質問(FAQ)

Q. クシ刃型の一番のメリットは何ですか?
A. 工具交換の速さです。
工具をスライドで切り替えられるため、サイクルタイムを短縮でき、シンプルな部品の高速・大量生産に向きます。

Q. クシ刃型のデメリットはありますか?
A. 一列に並べられる工具数に限りがあるため、非常に多くの工具を要する複雑な部品には不向きな場合があります。
その場合はタレット型が候補になります。

Q. クシ刃型はスイス型自動旋盤に多いのですか?
A. はい。
細物を高速量産するスイス型と、工具交換が速いクシ刃型は相性がよく、組み合わせて使われることが多くあります。

まとめ

クシ刃型旋盤は、工具を櫛状に並べてスライドで素早く切り替えることで、工具交換時間を最小化し、高速・大量生産を実現する方式です。
サイクルタイムの短縮が量産現場の利益に直結します。
細物量産を得意とするスイス型との相性もよく、精密小物部品の量産現場を支えています。
複雑加工に強いタレット型旋盤とあわせて検討し、自社の部品に合った刃物台を選びましょう。

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