
CNC自動旋盤は、主軸の数によっても分類できます。
主軸が1本の「単軸自動旋盤」と、複数の主軸を備えた「多軸自動旋盤」です。
どちらを選ぶかは、生産量・部品の複雑さ・コストのバランスで決まります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
単軸自動旋盤とは
単軸自動旋盤は、主軸が1本のタイプで、1つのワークを1か所で加工します。
現在最も普及しているのが、このCNC制御の単軸自動旋盤です。
単軸のメリット
柔軟性が高い: プログラムを変更するだけで、さまざまな形状の部品に対応できます。
多品種少量から中量の生産まで、幅広くこなせます。
段取りがシンプル: 加工が1か所で完結するため、段取りや調整が比較的わかりやすく、品種の切り替えもしやすいといえます。
導入しやすい: 後述の多軸機に比べて、機械の構造がシンプルで導入のハードルが低めです。
複雑な形状の部品や、頻繁に品種が変わる生産には、単軸自動旋盤が向いています。
CNC化が進んだ現在では、単軸でも複数の工具や背面主軸を備え、かなり複雑な加工を1台でこなせます。
多軸自動旋盤とは
多軸自動旋盤は、複数の主軸(たとえば6軸・8軸など)を備え、複数のワークを同時並行で加工するタイプです。
各主軸に取り付けられた材料が、加工ステーションを順に回りながら、少しずつ加工を進めていきます。
多軸のメリット
圧倒的な生産スピード: 複数のワークを同時に加工するため、1個あたりの生産時間が非常に短くなります。
決まった形状の部品を、とにかく大量に作る用途では、単軸を大きく上回る生産性を発揮します。
大量生産でのコスト優位: 生産数が極めて多い場合、1個あたりの加工コストを抑えられます。
多軸の注意点
一方で、段取りや調整が複雑で専門的な技能を要すること、品種の切り替えに手間がかかること、機械自体が高価になりやすいことが挙げられます。
そのため、少品種を超大量に生産する用途に特化した機械といえます。
どう使い分けるか
選定の目安を整理すると、次のようになります。
単軸自動旋盤が向くケース: 多品種少量〜中量の生産、複雑な形状の部品、品種の切り替えが多い場合、まず1台導入したい場合。
多軸自動旋盤が向くケース: 決まった形状の部品を、極めて大量に、長期にわたって作り続ける場合。
かつては「大量生産=多軸(カム式)」が主流でしたが、CNC単軸機の性能向上により、現在は多くの用途で単軸CNC自動旋盤が選ばれています。
そのうえで、生産量が突出して多い特定の部品には多軸機を、という使い分けが一般的です。
単軸と多軸の比較表
2つのタイプの違いを整理しておきます。
「品種の数」と「1品種あたりの生産量」のバランスが、選定の決め手になります。
| 比較項目 | 単軸自動旋盤 | 多軸自動旋盤 |
|---|---|---|
| 主軸の数 | 1本 | 複数(6軸・8軸など) |
| 加工の進め方 | 1つのワークを順に加工 | 複数ワークを同時並行で加工 |
| 生産スピード | 標準的 | 非常に速い |
| 段取り・調整 | 比較的シンプル | 複雑・専門技能が必要 |
| 品種切り替え | しやすい | 手間がかかる |
| 向く生産 | 多品種少量〜中量 | 少品種・超大量 |
CNC化で変わった「大量生産=多軸」の常識
かつて、大量生産といえば「カム式の多軸自動旋盤」が定番でした。
決まった形状の部品を、ひたすら速く大量に作るのに適していたからです。
しかし、CNC単軸機の性能が大きく向上したことで、この常識は変わりつつあります。
現在のCNC単軸自動旋盤は、複数の刃物台や背面主軸を備え、かなり複雑な加工を高速でこなせます。
段取り替えがしやすく、品種変更にも柔軟に対応できるため、「多品種化」「短納期化」が進む現代のニーズによく合っています。
そのため、多くの用途でCNC単軸機が選ばれ、生産量が突出して多い特定部品にのみ多軸機を使う、という棲み分けが一般的になっています。
よくある質問(FAQ)
Q. 多軸自動旋盤は単軸より高性能なのですか?
A. 用途次第です。
少品種を超大量に作るなら多軸が圧倒的に有利ですが、多品種や複雑形状、品種切り替えの多い生産では、柔軟な単軸機のほうが適しています。
Q. これから1台導入するなら、どちらがよいですか?
A. 多くの場合、柔軟性が高く段取りもしやすいCNC単軸自動旋盤が出発点になります。
特定部品を桁違いの数量で作り続ける見通しが明確な場合に、多軸機を検討します。
Q. 単軸でも複雑な加工はできますか?
A. できます。
現在のCNC単軸機は複数刃物台や背面主軸、回転工具を備え、複雑な小物部品を1台で仕上げられます。
まとめ
単軸自動旋盤は柔軟性と段取りのしやすさに優れ、多品種や複雑形状に向きます。
多軸自動旋盤は複数ワークの同時加工による圧倒的な生産スピードを武器に、少品種超大量生産に特化しています。
CNC化により、多くの用途で単軸機が選ばれるようになりました。
自社の「品種の数」と「1品種あたりの生産量」を軸に、最適なタイプを選びましょう。
タイプ別の違いの全体像は「「スイス型」と「主軸固定型」CNC自動旋盤の違い」をご覧ください。
