種類・構造で選ぶ

刃物台は「クシ刃型」と「タレット型」の2つに大別

刃物台に取り付けられた工具群

CNC自動旋盤を選ぶうえで、スイス型・主軸固定型という分類と並んで重要なのが、刃物台(はものだい)の方式です。
刃物台とは、ワークを削る工具を取り付けておく部分のこと。
この方式の違いが、加工スピードや搭載できる工具数、得意な加工に直結します。
刃物台は大きく「クシ刃型」と「タレット型」の2つに分けられます。

クシ刃型(ガングツーリング)

クシ刃型は、複数の工具を櫛(くし)の歯のように一列に並べて固定する方式です。
英語では「ガングツーリング」と呼ばれます。

最大のメリットは、工具の切り替えが速いことです。
工具が一列に並んでいるため、刃物台を横にスライドさせるだけで次の工具に切り替えられ、工具交換にかかる時間(非加工時間)を最小限に抑えられます。
1個あたりの加工時間が短くなるため、シンプルな形状の部品を高速で大量生産する用途に強みを発揮します。

一方で、並べられる工具の数には物理的な限りがあり、非常に複雑で工具数が多い加工には不向きな場合があります。

タレット型

タレット型は、工具を放射状(タレット=回転式の砲塔のような形)に配置し、旋回させて割り出す方式です。
使いたい工具の位置までタレットを回転させて、加工に使います。

メリットは、多くの工具を搭載できることです。
タレットの各面に工具を取り付けられるため、工程数の多い複雑な部品にも対応しやすくなります。
多品種・複雑形状の加工や、1つの部品にさまざまな加工を施す場合に向いています。

ただし、工具を切り替えるたびにタレットを旋回させる必要があるため、クシ刃型に比べると工具交換に時間がかかる傾向があります。

どちらを選ぶか

選定の目安はシンプルです。
「速さ重視のシンプル量産」ならクシ刃型、「工具数が必要な複雑加工」ならタレット型が基本的な考え方になります。

実際の機種では、両者を組み合わせて搭載するものもあります。
たとえばクシ刃型の刃物台に加えて、背面加工用にタレットを備えるなど、加工内容に応じて柔軟に構成されています。
自社の部品が「単純形状を速くたくさん」なのか「複雑形状をしっかり作り込む」のかを見極めることが、刃物台選びの出発点になります。

それぞれの詳細は、タレット型旋盤クシ刃型旋盤の個別ページで解説しています。

クシ刃型とタレット型の比較表

2つの刃物台方式の違いを整理しておきます。
サイクルタイム(1個あたりの加工時間)を重視するか、工具数・柔軟性を重視するかが選定の分かれ目です。

比較項目クシ刃型(ガングツーリング)タレット型
工具の配置一列に並べて固定放射状に配置・旋回割り出し
工具交換の速さ速い(スライドのみ)やや時間がかかる(旋回)
搭載できる工具数限りがある多い
得意な加工シンプル形状の高速量産複雑形状・多品種
相性の良いタイプスイス型(細物量産)多品種・複雑加工

実機では「組み合わせ」も多い

ここまで対比的に説明してきましたが、実際の機械では、クシ刃型とタレット型を組み合わせて搭載する機種も少なくありません。
たとえば、正面加工はクシ刃型の刃物台で高速にこなし、背面加工や複雑な追加工はタレットで対応する、といった構成です。

これにより、「クシ刃型の速さ」と「タレット型の工具数・柔軟性」を1台で両立できます。
機械を選ぶときは、刃物台が単一方式か組み合わせ方式か、そして自社の部品の複雑さに対して工具数が足りるかを確認するとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. クシ刃型とタレット型、量産に向くのはどちらですか?
A. シンプルな形状を高速で大量に作るならクシ刃型が有利です。
工具交換が速く、1個あたりの加工時間を短縮できます。
一方、複雑形状や多品種の量産にはタレット型が向きます。

Q. ガングツーリングとは何ですか?
A. クシ刃型の英語名です。
工具を櫛(gang)のように一列に並べることから、こう呼ばれます。

Q. 自社の部品が複雑な場合、どちらを選ぶべきですか?
A. 多くの工具を要する複雑形状なら、搭載数の多いタレット型が基本です。
ただし、クシ刃型とタレットを併載した機種なら両立も可能です。

まとめ

刃物台は、工具を一列に並べて高速切り替えするクシ刃型と、放射状に多くの工具を搭載できるタレット型に大別されます。
速さのクシ刃型、工具数のタレット型、という特性を押さえれば、自社の加工に合った構成が見えてきます。
実機では両者を組み合わせた機種も多く、スイス型・主軸固定型という分類とあわせて検討するとよいでしょう。

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