
タレット型旋盤とは、複数の工具を放射状に配置した「タレット」を旋回させ、必要な工具を割り出して加工する方式の旋盤です。
「タレット」とは、もともと回転式の砲塔を指す言葉で、その名のとおり、たくさんの工具を載せた台が回転して使う工具を選ぶ仕組みになっています。
タレット型の仕組み
タレットは多角形(六角形や八角形など)や円盤状の形をしており、その各面・各ステーションに工具を取り付けます。
加工プログラムが「次はこの工具」と指示すると、タレットが回転して目的の工具を加工位置に割り出し、加工を行います。
この「旋回して工具を選ぶ」という仕組みのおかげで、1台に多数の工具を搭載できます。
外径バイト、突切りバイト、ドリル、各種の回転工具などをずらりと載せておけば、1つのワークに対してさまざまな加工を連続して施せます。
タレット型のメリット
多くの工具を載せられる
最大の利点は、搭載できる工具数の多さです。
工程の多い複雑な部品でも、必要な工具をすべてタレットに載せておけば、1回の段取りで加工を完結させやすくなります。
多品種・複雑形状に強い
工具の種類を豊富にそろえられるため、形状が複雑な部品や、多品種の生産に柔軟に対応できます。
「いろいろな加工を、いろいろな部品に」というニーズに応えやすいのがタレット型です。
剛性を確保しやすい
タレット構造は工具をしっかり保持しやすく、加工時の剛性を確保しやすいという特徴もあります。
タレット型の注意点
一方で、工具を切り替えるたびにタレットを旋回させる必要があるため、工具交換の時間(非加工時間)が、クシ刃型に比べてやや長くなる傾向があります。
きわめてシンプルな形状の部品を、とにかく速く大量に作りたい——という用途では、クシ刃型の方が有利な場合があります。
どんな加工に向くか
タレット型旋盤は、「工具数を要する複雑な部品」「多品種の加工」に向いています。
1つの部品にねじ切り・穴あけ・溝入れ・フライスなど多くの加工が必要なケースや、さまざまな種類の部品を1台でこなしたいケースで力を発揮します。
なお、CNC自動旋盤では、クシ刃型の刃物台とタレットを組み合わせて搭載する機種もあります。
前加工はクシ刃型で高速に、背面加工や複雑加工はタレットで、というように役割分担させることで、速さと柔軟性を両立させているのです。
タレット型が選ばれる現場の例
タレット型の強みが活きるのは、「1つの部品にたくさんの加工が必要」あるいは「いろいろな部品を1台で作りたい」現場です。
たとえば、外径加工・端面加工・複数の穴あけ・ねじ切り・溝入れ・フライスといった工程が1部品に集中するケース。
必要な工具をすべてタレットに載せておけば、1回の段取りで完結させられます。
また、少量ずつ多くの品種を流す多品種少量生産の現場でも、工具の選択肢が多いタレット型は段取り替えに柔軟に対応できます。
「複雑さ」と「多様さ」に強いのがタレット型だと覚えておくとよいでしょう。
工具交換時間をどう考えるか
タレット型の弱点とされるのが、工具交換のたびにタレットを旋回させる時間です。
ただし、この差が問題になるのは、ごく単純な部品を膨大な数だけ作る場合が中心です。
複雑な部品では、そもそも加工そのものに時間がかかるため、工具交換時間の比率は相対的に小さくなります。
また近年は、タレットの旋回を高速化したり、加工しながら次の工具を準備したりする工夫により、工具交換のロスは年々小さくなっています。
「複雑な部品ならタレット型の交換時間はそれほど不利にならない」と理解しておくと、選定の判断がしやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. タレット型とクシ刃型、どちらが汎用的ですか?
A. 工具数が多く多様な加工に対応できるタレット型のほうが、汎用性は高いといえます。
一方、シンプル形状の高速量産に絞ればクシ刃型が有利です。
Q. タレットには何本くらいの工具を載せられますか?
A. 機種によって異なりますが、各ステーションに工具を取り付けられるため、クシ刃型より多くの工具を搭載できるのが一般的です。
複雑な部品ほどこの利点が効きます。
Q. タレット型はスイス型・主軸固定型のどちらにありますか?
A. どちらにも採用例があります。
刃物台の方式(タレット型かクシ刃型か)と、機械のタイプ(スイス型か主軸固定型か)は別の分類軸です。
まとめ
タレット型旋盤は、多数の工具を旋回割り出しで使い分け、多品種・複雑形状の加工に強い方式です。
工具交換にやや時間がかかる点はありますが、複雑な部品ではその差は小さく、柔軟性と工具搭載数の魅力が上回ります。
高速量産が得意なクシ刃型旋盤と比較しながら、自社の加工内容に合った方式を選びましょう。
